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<麻薬> 

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●塩酸モルヒネ (鎮痛作用, 便秘作用, 催吐作用, 傾眠作用)

5mg, 10mg/1T, 10mg/1ml

副作用)消化管蠕動運動抑制

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●アンペック座薬(10mg, 20mg)、徐放性座薬、投与後8時間まで安定した血中濃度、

30mg 以下 ーー  1200mg以上

普通は、20 -- 180 mg/dayOK

増量)24hr後、除痛が不十分なら1.5倍量にする(50%アップ)

減量)無痛となった、眠気が強いと50%を目標に減量

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●MSコンチン(10mg, 30mg錠)硫酸モルヒネ徐放剤

(初回10mg,120-60mg, 2回に分服)

102030406080120mgの順に増量して、無痛域をみる

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●アンペック座薬2個2X

----+----+----+----+----+----+----+----+----+----+----+----+----+◆麻薬:フェンタニール(1A + 10mlNS

0.5-1 μg/Kg/hr, one shot 1/4A

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■医者はソムリエ

至適量のオピオイドが投与された場合、血中濃度が鎮痛有効領域にあるのは4-5時間と考えられる。

逆にオピオイドの投与により副作用がなく4-5時間の鎮痛が得られれば、投与されたオピオイドは至適量である。

副作用はないが、鎮痛開始時間が早く、鎮痛時間が短いのは投与されたオピオイドの量は少ないことになる。

すみやかに鎮痛が得られるが、催眠作用などの副作用が表れ、鎮痛時間が長い場合には、投与されたオピオイド量は多すぎる。

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■モルヒネ製剤の薬物速度論的パラメータの解析

----+----+----+----+----+----+----+----+----+----+----+----+----+-           モルヒネ水溶液

                       8分で吸収されはじめ

                       30分で最高値に達し

                       3時間で血中濃度は1/2になり

                       4時間の鎮痛持続時間

----+----+----+----+----+----+----+----+----+----+----+----+----+           アンペック坐薬

                       20分で吸収されはじめ

                       90分で最高値に達し

                       4時間で血中濃度は1/2になり

                       8時間の鎮痛持続時間

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            MSコンチン

                       1時間30分で吸収されはじめ

                       3時間で最高値に達し

                       8-12時間の鎮痛持続時間

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■モルヒネの定時投与と疼痛時頓用薬-2-

WHO方式の鎮痛薬投与法:薬剤の血中濃度を常に鎮痛有効濃度内に維持し、有効濃度以上(副作用)にも以下(効かない)にもしない。

過少投与はかえって弊害となる

疼痛時頓用では、定時投与の1/6に相当するモルヒネ水溶液投与

経口摂取不可の場合・坐薬

持続皮下注・静注の場合・早送り

                      必ず疼痛時頓用の指示をだしておくこと

                      ただし、頓用薬の使用は1-2/日にとどめるべき

                      それ以上の場合は、定時投与量を増やすべき

            ダブルブロック

中枢性鎮痛薬(オピオイド)と末梢性鎮痛薬(NSAIDs)を併用すると、オピオイド単独よりより少ない量で、より良好な鎮痛が得られ、副作用対策も容易になる。

            副作用には対症療法

鎮痛作用を最優先させて、副作用が出現しても、鎮痛に必要なオピオイドの量は減らさず、対症療法とする。

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■オピオイド投与の原則

病期オピオイドの投与

癌性疼痛にはまず鎮痛剤の投与を行う。鎮痛剤の選択は病期ではなく、痛みの強弱で行う。

癌患者では、痛みの原因が癌でないこともあるが、まず除痛をして鎮痛剤の反応を検討しながら(治療的診断法)、原因をざぐる。

至適量の決定

1回の投与によって鎮痛が4-5時間以上消失する量と強さの鎮痛薬を選択する。

適切な投与ルートへの変更

                      基本的に経口投与

                      投与経路によるモルヒネの力価の比率

経口投与=1とすると、皮下・静注=1/21/3、硬膜外腔投与=1/101/15、経直腸投与=1/21

予防的副作用対策

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■オピオイド投与法の実際

WHO3段階癌疼痛除痛ラダー(除痛段階)

           第一段階:間歇的投与のNSAIDsを、定時投与+疼痛時頓用とする。

NSAIDsを毎食後+就寝前の4回定時投与と疼痛時頓用にNSAIDsの坐薬を使用させる。

第二段階:第一段階にリン酸コデイン(弱麻薬)を加えて至適量まで増量する(<240mg/日) あえてこのステップを踏まなくて良い。

第三段階:第二段階のリン酸コデインに変えてモルヒネを投与する。

リン酸コデインの1/6量のモルヒネ水溶液に切り替え、至適量まで増量する。

モルヒネ水溶液に至適量を換算して、MSコンチンに切り替える。

臨床的にNSAIDs坐薬(ボルタレン坐50mg)は、リン酸コデイン10倍散200mgに相当するので、リンコデの5-6倍の力価をもつモルヒネでは4mgに相当する。

開始処方はまず3日分

頓用薬は、モルヒネ水溶液(12回程度)------できればMSコンチン服用時間の中間で、それ以外はNSAIDs坐薬で。

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◆持続注入法:1時間毎のチェックでそのつど注入量の設定を変えれば、3-4時間で至適量がきまる。24時間毎では至適量決定に数日かかることになる。

至適量が決まるまでは、自由に注入量が変えられる注入器を使用すべき。

至適注入量が決定した後も1-2日はその量で維持した後に、ディスポーザブル持続注入器を用いたり、点滴ボトル内に混入する。

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◆持続皮下注法

もっとも侵襲が少なく、簡便で、多少の訓練で家族や患者でも針の刺入や固定は容易にできる。また、入浴時には抜針すればADLの損失もすくない。

27Gの翼状針を胸骨前面の皮下に刺入

                      皮下針は3-5日ごとに少し場所を変える。

                      24ml/日が限界

                      初回投与量は経口の一日量の1/224時間でおとす

初めての投与の場合、モルヒネ2-5mg15分間隔で疼痛が消失するまで皮下注し、その総量を初回量として、その4倍を1日量とする。

疼痛時頓用量は1日量の1/24を疼痛が消失するまで15分ごとに注入。

                      副作用が継続するなら20%減を目安とする。

頓用量が3時間分量以上ある場合は頓用量を維持量に加えて1日量とする。

                      経口投与に移行する場合

                      1日投与量の2倍量のモルヒネを1日投与量とする。

                      モルヒネ水溶液ならば、持続注入終了前2時間前に内服開始

                      MSコンチンなら4時間前に1回分を内服させる。

----+----+----+----+----+----+----+----+----+----+----+----+----+           ◆持続静注法

皮下注より効果発現が早いので、投与間隔は5分間隔

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            ◆持続硬膜外腔注入法

遅発性呼吸抑制や排尿障害・掻痒感のために最近では減少。術後の鎮痛法として行われている。

除痛の質の高さ。局麻剤の併用による硬膜外ブロック効果、精神症状・便秘が発生しにくいなどの利点もある。

                      静注の1/31/5のモルヒネ量ですむ。

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                      適応

維持中の急激な痛み、精神症状の強い症例、多種薬剤使用時の効果判定

神経破壊薬による神経ブロックの適応とならない局所の痛み(腰痛・上下肢痛など)

癌性腹膜炎あるいは偽イレウス症状の際、鎮痛・腸管蠕動亢進目的

脊椎転移による横断麻痺が完成するまでの激しい痛みには(モルヒネ投与量が硬膜外腔で100mg/日を超える場合)、くも膜下腔にカテーテルを留置し、硬膜外腔投与量の1/51/10量を注入すると良い。

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                       実施法

疼痛部位に一致させる

至適量は、初回の場合、まずモルヒネ2.5mg+0.5%マーカイン5mlに溶解させて、bolusに硬膜外腔に注入し、再発時に同量を追加して、1日至適量を決める。

経口投与である程度痛みがコントロールされている場合、経口1日投与量の1/101/15、皮下・静注法では1/31/5を目安。

従来投与していたモルヒネを急に中止して硬膜外法に変えても退薬症状の出現はない。

多くの部位の痛みがあって皮下・静注で大量にモルヒネが使用されている場合には、部位選択的な硬膜外腔法では完全な除痛は得られない。全身量をへらし副作用を減少させることを目的とするなら、とりあえずもっとも痛みの強い部位に留置し、全身投与量の1/2量を硬膜外腔投与量に換算して移行させる。

                                 場合によっては、皮下にリザーバーを留置させる。

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                       経口あるいは皮下・静注法への移行

硬膜外腔注入1日量の10-15倍を経口の1日量とする。

MSコンチンなら、硬膜外腔投与終了後の4時間後に1回量開始。

                                 モルヒネ水なら、8時間後に1回量開始。

皮下・静注法の場合、1日量の3-5倍量を1日量として、8時間後より開始する。

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                       レペタン・スタドール

鎮痛作用に有効限界がある(レペタン;2.0mg/日。スタドール;20mg/日)

モルヒネに変更する際に、精神症状の発現、鎮痛効果が不安定となりコントロールに難渋する事がある。

つなぎとして、十分な対症療法をしているにもかかわらず、モルヒネの副作用がQOLを著しく低下させているばあい(イレウス症状が強い。硬便のために人工肛門からの排便に難渋する場合など)。

社会的適応として、転院や在宅医療を他の施設に依頼する場合など。

                                 嘔気;レペタン>スタドール

                                 鎮静作用;スタドール>レペタン

----+----+----+----+----+----+----+----+----+----+----+----+----+                      フェンタネスト

                                 モルヒネと同等の鎮痛作用(有効限界なし)

                                 モルヒネより便秘・嘔気・めまいなどの副作用が少ない。

今のところ、副作用が強くモルヒネでうまく除痛が得られない症例にしか用いられない

                                 臨床上は、フェンタネストはモルヒネの65倍くらいの力価

                                 アンプル数にしてモルヒネの1.5倍のフェンタネスト

                                 モルヒネ(10mg)2Aフェンタネスト(0.1mg)3A

----+----+----+----+----+----+----+----+----+----+----+----+----+           ◆経直腸投与

直腸部位の脈管系が一部門脈を介さず直接体循環に入るため、経口投与よりも有効利用率は高い。

経口よりも最高血中濃度は高くなり(鎮痛作用は高く、副作用も発現しやすい)、有効血中濃度の持続は約8時間。

                                  通常8時間毎に13回投与。

挿肛時には、キシロカインゼリーは乾燥して肛門を傷つけるので、グリセリンか軟膏のような皮膚の炎症治療薬を少量併用する。

インダシン坐薬は、水性基剤のためにモルヒネの吸収は遅れ、血中濃度が抑制される。

ボルタレン坐薬は、油性基剤のためにモルヒネの吸収が促進され、血中濃度も上昇する。

緊急避難法として、MSコンチンを挿肛することがあるが、薬物動態的に経口の1.52倍量が必要となるが、ボルタレン坐薬を併用すると、吸収促進に働くために経口と同量でよい。

----+----+----+----+----+----+----+----+----+----+----+----+----+           ◆ケタラール+ドルミカムの持続投与

                                  鎮痛・鎮静目的でしようする。

死亡前3-5週間(終末期)にはモルヒネによる鎮痛効果が低下して、表現のしようのない苦痛のために、夜間の不穏状態がおおくなり、『疲れたから、とにかく眠りたい』。とか『安らかに眠るように死にたい。』という要望もみられるようになる。このような場合モルヒネの増量は無効。

モルヒネ投与に加えてケタラール+ドルミカムを併用するとよい。

異次元にさまよったような不快な浮遊感を30%に経験する。

気管・口腔内分泌物の増加を認め、気道狭窄に注意を要する。

静注用ケタラール(10mg/ml)500mg+ドルミカム(10mg/2ml)50mg+5%グルコース440ml

つまりケタラール1mg/ml+ドルミカム0.1mg/mlの組成溶液が500mlできる。

20時〜24時;深い眠りを期待して20ml/hrで持続静注。24時〜4時;10ml/hrその後中止。

日中も鎮静する場合には、20時〜4時のみ20ml/hrで、それ以外は10ml/hrで投与する。

夜間の良眠、安静時の鎮痛、日中の意識状態ならびに副作用で、比率はそのままで投与量の増減で調節。

                                  深いな浮遊感が強いとき;ドルミカムの増量。

                                 疼痛が強いとき;ケタラールの増量。

                                  鎮痛強化薬としてのケタラール

モルヒネを増量しても眠気や吐き気が強くなるばかりで鎮痛効果が変わらない場合

3-5mg/kg/日(意識レベルが下がらない量)のケタラールをモルヒネと一緒に投与する。

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