胸部手術麻酔(肺癌、気胸)

 

<硬膜外チューブ挿入>

Th5-6の間へ、エピを挿入(Th2-7は狭く、きょく突起が斜めで入りにくい)。(C7, Th7は肩胛骨下端、Th12は肋骨付着部で確認)

・刺入点は、Th6のきょく突起より左側1-1.5cmのところから、斜め正中上方の方向。

・ 皮膚の1%キシロカイン局麻と同時に、硬膜外を探るために、垂直に骨にあてる。

 当たれば、挿入の深さを確認しておく。

・エピ針がぐらぐらしないところまで刺されば、硬膜外の可能性あり。

 また、プツッという抵抗感も硬膜外の可能性あり。挿入の深さを確認。

・生食を注入し、抵抗なく軽く入れば、硬膜外で、針先を上にむけておく。

・硬膜外チューブを20cm挿入し、外筒を抜く。

 この時、硬膜外チューブが抜けないように押し入れながら、外筒をぬく。

12-3cmのところまで硬膜外チューブをひきぬき、中は7-8cm入っていて、Th4-5へ先が入っているはずである。

・ブルー針を装着し、吸引して血液や髄液が引けないか確認する。生食を注入し、水面が、高さにより上下するかを確認する。

・キャップをつけて、背中正中より後頚部側へテープで固定する。

 

<麻酔前確認>

・末梢点滴がとれていないときは、ラクテックで確保(18Gで、緊急輸血用にも使う)

・圧ラインがとれていないときは、黄色サーフローで右手確保。(標準は病変反対側)

・気管チューブの選択(通常は、標準男8.5cm, 女7.5cmであるが、)

 分離片肺換気用気管チューブ(37Fr, 39Fr, 左用)

   左のpneumonectomy以外はすべてこれで行う。

 左側の気管支の大きさと左まがりの青色バルーンの大きさを比べる。37Frを選ぶ。

 バルーン空気漏れのチェック。(2箇所)

・喉頭鏡、麻酔機器回路のチェック

・レスピレーターの条件設定、標準(14回, 7LでTV 500ml、片肺換気は、純O2 100%)

・イソゾール(500mg/20ml NS,), マスキュラックス(4mg/4ml NS), エホチール1A + NS 9ml, 硫酸アトロピン1A準備。

 

<導入>

・マスキュラックス1mg iv

O2マスク6Lで、純酸素化、3分間まつ。

・マスキュラックス3mg iv、筋弛緩が表現され始め、

・イソゾール iv (50mg/kg, 500mg/20mlで作製、50Kg:250mg:10ml iv, 

    20ml * 0.x BW kg)

・入眠し(呼吸停止で、アンビューバッグで呼吸補助)、顎関節、開口、頚部筋肉が弛緩したのを確認。挿管のしにくい筋肉質男性は、一度両手で下顎を押し下げ、開口させる。

・手術台を高くする。

・喉頭鏡で、喉頭展開、キシロカインスプレー噴霧。

・スタイレットありで、挿管は、右口角から、右横向きで(先は前を向いていて挿入しやすい)挿入し、喉頭内、声門を越えたところで、スタイレット抜き、途中から反時計回りに気管チューブの軸をまわすようにして挿管する。

白色バルーンに空気をいれ気管チューブを固定する(白が気管内固定用、青が左気管支用であるが、気管支膜様部損傷防ぐために、通常は青色カフには空気いれない)。固定の長さは、門歯で27-29cmに仮固定し、気管支ファイバーで再固定を行う。

・片肺換気挿管チューブの右側の手前を鉗子でクランプし、患者気管内に気管支ファイバーを挿入し、右気管支内を観察して、左の青色カフを観察し、すっぽりとcarinaから左気管支内へはまっているのを確認した後、気管チューブを固定する。

・レスピレーター装着(02, 14回、7Lで、TV500mlに設定し、SaO2が安定したら, N20: 3L, O2: 3Lに変更)し、両側肺音チェックし、OKなら、バイトブロックとともに、固定する。手動/自動の切り替えスイッチとopen/closeダイアルを確認し、openにしておく。実際に人工で呼吸しているか確認する。

・人工鼻、CO2モニター装着。

・挿管時に、血圧上昇に対しては、セボフルレン0.5-5.0内に増加させ、調節する。

無効時は、ペルジピン2mlフラッシュ等を用いる。

(徐脈時は、atropin, 低血圧時はエホチールivができるように。)

・アイパッチを両目に当てておく、眼球の乾燥を防ぐ。

・マーゲンチューブを挿入し、固定する(45cm以上)。

・圧ラインをとる。黄色、または黒色サーフローで、挿入。

IVH 挿入。

 右内頚静脈(頚部下1/3で胸鎖乳突筋分岐部を刺入点とし、右乳頭方向に、30度の角度で、頚動脈の外側で、ブルー針で約1cm-1.5cm試験穿刺し、確認する。)

・体位変換(左側臥位)、気管チューブ、レスピレーターがはずれないよう、また気管チューブがずれないよう注意する。

U時型まくらを挿入し、まくらが左眼にあたらないようにする。(まくらは2つ)

・体位変換後の確認。

Bronchoscopyで、左気管支のブルーカフ等の逸脱等の有無の確認。

・気管チューブの右(白)をクランプ(レスピレーター側)し、右の気管チューブ(患者側)

の蓋をopenにすると、右片肺換気になる。

・気道内圧の異常な上昇がないか確認。

・換気量は、通常両側換気量の1/2--2/3 volumeであるが、400-500ml

・気道内吸引は、気管チューブの蓋をあけて、吸引する。左は左、右は右の気管チューブの蓋をあけて行う。

 

<麻酔維持>

・血圧は、セボフルレンの上下によりコントロールする。

・片肺換気しない間は、N2O: 3L, O2: 3Lで、FiO2 50%で、呼吸を維持してもよいが、すぐに片肺換気を行うので、O2 100% 6L + セボフルレンで行う。

SaO2, CO2モニターで、レスピレーターの調節(回数, TV, flow)を行う。

・輸液に関し、教科書的には、

体液喪失手術:8ml/Kg/hr, (60kg Ptは、480ml/hr)

ileus手術:10ml/Kg/hr, (60kg Ptは、600ml/hr)

出血量1mlに対し、外液3mlで補う。

尿量は、0.5-1.0ml/kg/hr保つように。(成人では2000ml輸液入ってから、尿が出始める)

・マスキュラックスは、30min毎に、1mg追加する(筋肉質男性は1-2mg)。

片肺換気は、途中でバッギングすると膜様部を損傷し、ミゼラブルになるので気をつけ、十分に筋弛緩させる。

SaO2<95以下にさがるような時は、片肺換気をやめて、ブロー、両側換気等行う。

途中ブローするときは、片肺換気のクランプ、開放をもとにもどしてレスピレーターと接続し、手動に切り替えて、手押しで換気する。その際、血圧低下に注意する。

・閉胸時でも、体位変換時にマスキュラックスが必要なので、打っても良い。

後で、リバースをうてばよい。

 

ope終了段階>

・ドレーン挿入時段階で、セボフルレンはoffにする。

・閉胸時は両側換気。途中肋骨にかけるときに呼吸停止要望有り。術野をみる。

腹は30分ほど要するので、筋弛緩十分なんらマスキュラックスはこの段階ではうたない(硬直ならうつ)。

・皮膚縫合時には、笑気をoffにする。

・覚醒30分前には、epi注(レペタン0.1mg + NS 9.5ml)を行い、覚醒時疼痛を除く。

  通常人70以下:(レペタン0.2mg + NS 9ml)

  高齢者70以上:半分(レペタン0.1mg + NS 9.5ml)、

・体位変換時にバッキングすることあるので、筋弛緩マスキュラックス2mg ivを行う。麻酔科は、呼吸器を一時的にはずし、頭をもって体位変換。

<覚醒、抜管>

・自発呼吸の有無は、モニター胸郭移動ラインでわかる。

・覚醒時(握手可能)に、リバースとして、硫酸アトロピン2A, ワゴスチグミン4Aを投与する。

  マスキュラックス4mg以下の場合:硫酸アトロピン1A, ワゴスチグミン2A。

  70才以上:硫酸アトロピン1A, ワゴスチグミン4Aを投与する。

    (限度:硫酸アトロピン3A, ワゴスチグミン6Aを投与する。)

  覚醒は、呼びかけに応じるか、目を開かせる、手を握らせる、深呼吸させる。

  口内、鼻腔内、気管内吸引し、刺激させ、呼吸させる。

リバースをうつ。

・抜管。

 

<抜管しない時、そのままICU帰室><気管チューブの入れ替え>

 

・まわりに人がいることを確認。

・口腔内吸引、気道内吸引、

・マーゲンチューブ挿入されていれば抜く。

・通常の挿管のための気管チューブ準備、マスク+レスピレーターの準備、手押し、喉頭鏡、バイトブロック

・抜管。しばらく、マスクアンビューバック。

・筋弛緩が得られていなければ、マスキュラックス2mgほど追加。

・挿管、固定、確認。

・マーゲンチューブ入れる。