麻酔注意点

 

<気管内挿管直後から手術開始までの間の血圧下降>

エホチール等で、上昇させたり、輸液を急速に与えたりで対処する。

 

<麻酔の維持>

痛覚反応:体動、頻脈、高血圧、散瞳などに現れる。

 

術中の高血圧:麻酔深度が浅い、輸液の過剰、カテコールアミン類の過剰投与、高炭酸ガス血症、低酸素血症、既往疾患としての高血圧をチェックする。

 

<全身麻酔からの覚醒>

通常は早く覚醒するほうが望ましい。

あまり急な覚醒は、痛みのために、高血圧、せん妄を引き起こす。

 

<抜管の条件>

・筋力の回復を肺活量、舌の突出、頭部挙上などから再度判定。

・呼びかけなどの命令に対する反応をみる。呼名、開眼、手を握らせ開かせる命令を支持する。手を握るのは麻酔が深くても可能で、開く方がより浅い麻酔で可能となる。

・挿管困難、声門浮腫、血圧、頻拍が不安定、気管および顎顔面の手術、胃充満症例は、完全覚醒を待ってから抜管する。

・呼吸数、換気力、気管分泌物の除去、循環系の安定を確かめる。

 

<抜管の方法>

・口腔咽頭部にたまった分泌物を吸引する。(口腔内を先にするのは気管吸引時の強い陰圧が気道に生じ、口腔内の分泌物が気道に流入しないようにするためである。)

・気管内吸引を行う。

・音が消えるまでは、分泌物の吸引は行う。

100%酸素で肺を膨らませた後、気管内チューブを抜管する。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

<ニューロレプト鎮痛法 neurolept-analgesia (NLA)>

1)自発運動を抑止されたカタレプシー様状態

2)環境に興味を示さない。感情発露が乏しい。

3)アドレナリン、ノルアドレナリンに対する感受性が低下

4)アポモルフィンの催吐作用に拮抗し制吐作用をもつ。

 

笑気を併用して、意識を消失させる。

 

標準方法

1)神経遮断薬としてドロペリドール(ドロレプタン)0.1ml/kg、(2.5mg/ml)を準備

2)鎮痛薬としてフェンタニール(フェンタニスト)を5μg/kg, (50μg/ml)を準備

3)ドロレプタンとフェンタネストの投与。

ドロレプタン 250μg/kg (0.1ml/kg)静注、鎮静効果は2-3分で現れ30分続く。

フェンタネスト5μg/kg静注、鎮痛硬化は1-2分で現れ30-45分持続。

4)呼吸抑制対策

呼吸抑制が強いので、呼吸をするように患者に指示し、換気量が低下すれば呼吸補助をする。

5)30分毎にフェンタネスト2-5μg/kg追加投与する。

 

NLA変法>

神経遮断薬として、ドロレプタン、セルシン、ロヒプノール、ドルミカム、

鎮痛薬として、フェンタネスト、オピスタン、ソセゴン、スタドール、レペタン

組み合わせ

セルシン:ソセゴン

セルシン:レペタン

いずれの方法も呼吸抑制が強いので必ず呼吸補助を行う。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

<腰椎麻酔>ネオペルカミンS (3ml)

L3-4間で、25G針で行う。剣状突起(Th7)まで効かせる

 

145cm成人:2.0ml

160cm成人:2.5ml

175cm成人:3.0ml

小学校入学前小児:原則全身麻酔

110cm小学校1年生:1.0ml

120cm小学校低学年:1.1-1.2ml

130cm小学校低学年:1.2-1.3ml

140cm小学校低学年:1.4-1.5ml

小学校高学年ー中学校:身長と身体の発達にあわせて決定する。

 

*腰麻時の血圧低下に対しては、ラクテックの負荷、必要に応じてエホチール1A+NS9mlで作製し、1-2mlフラッシュで対処する。

*術中腰麻が切れてきた場合:ソセゴンセルシンを十分量使用してねかせるようにする。

 

<腰椎麻酔の禁忌>

患者不穏、局所麻酔アレルギー、脳圧亢進症、穿刺部位の感染、凝固障害、循環血液量の著しい減少、患者の拒否。

 

<腰椎麻酔の合併症>

頭痛、低血圧、嘔気、聴力の低下、脊髄神経麻痺、尿閉、全脊髄麻酔、アナフィラキシーショック、無呼吸、その他。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

<一側肺換気>

 

ー麻酔法ー

・肺や心、大血管が圧迫され、低血圧、不整脈を起こしやすい。

・側臥位では下位の肺に血流が増え(5-10%)、換気量は減少するので、換気血流比の不均等が起こる。さらに開胸により肺が圧迫され、縦隔が下位肺のほうに変位する。その結果、死腔とシャントが増え、PaO2が低下する。

・開胸とともに吸気酸素濃度は50%とし、パルスオキシメーターを頻回に観察し、低下時は血液ガスを測定する。

・両側換気では、呼吸数が20/minとやや多い、小換気量が好まれる。

・適宜、虚脱肺の膨脹を行う。呼吸バッグを20cmH2Oの圧で持続的に加圧するとよいが、閉胸前には必要である。

・両側換気では、肺動脈が先に結紮されるとき、気管支が結紮されるまでは、その領域が呼吸死腔となるので、換気量を増加させる。

 

ー換気法ー

・できる限り両側換気とする。

・片肺換気の一回換気量は、下位肺だけで8-12ml/Kgで始める。一回換気量が少ないと無気肺を生じ、大きいと気道内圧が上がり、血流を上肺に追いやることになる。

PaCO2を40mmHgとなるように換気回数を決める。一般的には、両肺換気の20%増しの換気回数でよい。

・吸気酸素濃度を0.7以上とする。

・パルスオキシメーターをモニターし、血液ガスを測定する。

・低酸素血症が生じたら、上肺に酸素ガスを流すか、5-10cmH2OのPEEPをかける。

上肺は間欠的に5-10分ごとに換気をする。最後は両側肺換気に変更する。