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筑波大学麻酔科研修の手引き

9. 硬膜外麻酔

筑波大学麻酔科 編



硬膜外麻酔

(1) 適応
		頚部以下の手術。但し、上腹部以上の手術では全身麻酔併用が望ましい。

(2) 禁忌:  
		脊椎麻酔に準ずる

(3) 準備
	1)	全麻の用意 (麻酔器、エフェドリン、アトロピン) 	(イソゾ−ル)
	2)	局麻セット・硬麻針・バル−ン・1.5%キシロカインE (下記) 

(4) 局麻薬
	1)	1.5%キシロカインE (20万倍希釈エピネフリン添加) 
			(1%キシロカイン10ml+2%キシロカイン10ml+エピネフリン0.1mg、
			 エピネフリンは使用直前に加える) 
	2)	L2/3(L3/4)穿刺で下腹部の手術のとき、1.5%キシロカイン15-20mlが必
		要なことが多い。投与量は穿刺部位、無痛域の範囲、年齢により増減させる。
		筋弛緩効果を期待して2%キシロカインEを用いることもある。

(5) 手順
	バルーン法
		1) 	消毒までは脊椎麻酔と同じ
		2)	 棘間靭帯の方向に硬麻針(Tuohy針)を穿刺し黄靭帯まで進める。
		3) 	バル−ンをつけ膨らませる。
		4) 	バル−ンが膨らんだら、ゆっくり (両手第3指で背中を支点とし) 針
			を進める。
		5) 	バル−ンがプスンとしぼんだら、0.5%キシロカイン2-3ml注入し、
			抵抗をみる(硬膜外腔の確認) 。
		6)	 同時に皮膚から硬膜外腔までの距離を確認する(腰椎では3-4cm前
			後) 。
		7) 	カテ−テルを挿入する。挿入中、先端から10cmの所(カテーテルが
			針先から出る時)で抵抗がある。先端から15cmまで挿入できたら、
			カテ−テルが抜けないように少しずつカテ−テルを挿入しながら硬麻
			針を抜く。
		8)	 テガタ−ムを貼布後、背中を伸ばしてばんそうこうで固定する。
		9) 	患者を仰向けにし、テスト量として1.5%キシロカインE 3mlを注入
			する。 注入前に必ず血液や脊髄液の吸引がないことを確認する。
		10) 	3分間待ち、血管に入ってないこと (入っていれば、心拍数20bpm以
			上の上昇、血圧上昇)と脊椎麻酔になってないことを確認し、初回量
			を投与する。
		11)	 血圧を頻回測定する(特に老人は血圧の変動が大きいので注意が必要
			である) 。
   			気管内挿管を併用するときはさらに血圧が低下するので、注意が必要
			である。

	ハンギングドロップ法
		1)・2)は同上
		3) 	スタイレットを抜き硬膜外針のハブに水滴(0.5%キシロカイン)をの
			せる。
		4) 	ゆっくり針を進める。
		5) 	水滴が引き込まれたら、その点が硬膜外腔に達したことを示す。
		6) 	以下は同上

	もし・・・・
		1) 	血圧が低下したら、
				まずは輸液速度を早め必要なら昇圧剤を用いる。
		2) 	血管内注入になったら(意識消失・痙攣を起こすことがある)、
				降圧剤・イソゾールなどで対処する。
		3) 	呼吸が停止したら (全脊麻の疑い)、
 				速やかに気道を確保する。30〜90分で回復することが多い。
(6) 硬膜外モルヒネ投与
		通常モルヒネ2mgを生食5-10mlに混ぜて注入する。効果発現に90-120分
		かかることを考慮し、早めに投与するか、0.25%マーカインと併用する。

(7) 持続硬膜外麻酔注入法 (術後鎮痛のため)
	適応:	 開胸・開腹手術
	準備: 	バクスターインフーザー (2ml/時) 2日用・モノジェクト
				マーカイン (0.25または0.5%)
				生食
	薬液量:	 0.125%マーカイン(48ml/日)+塩酸モルヒネ 4mg/日が標準的
				←	0.25%マーカイン50ml+生食50ml+塩酸モルヒネ8mg
					0.5%マーカイン25ml+生食75ml+塩酸モルヒネ8mg
	※	塩酸モルヒネの量は患者によって増減する。また、必要に応じて2日分から			4日分を準備する。


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Last Modified: Mar. 20 1996